茶室は、必ずしも新しく建てるものではありません。いまある和室から始めるとき、どこまで手を入れるかを3段階で整理します。
「茶室をつくる」と聞くと、庭に独立した席を新築する姿を思い浮かべる方が多いと思います。けれど実際にいちばん多い出発点は、いま家にある和室です。
和室と茶室を分けているものは、意外と少ない。いちばんの核は「炉(ろ)」です。畳を四角く切り、床下に炉壇を落として、そこに炭を入れて湯を沸かす。この炉があるかどうかが、和室と茶室のいちばん大きな境目になります。
【段階1】工事をしない — 風炉(ふろ)や置き炉で始める。風炉は畳の上に置いて湯を沸かす道具で、5月から10月に使う本来の形です。置き炉を使えば、床を切らずに炉の形式だけを試すこともできます。まず稽古を始めたい、家族で楽しみたい、という段階ならここで十分です。費用も工事もかかりません。
【段階2】炉を切る — ここから「工事」になります。畳を切るだけでなく、炉壇を落とすぶんの空間と、まわりの補強が床下に必要だからです。つまり建物の構造の話になります。戸建てなら床下に余裕があることが多い一方、マンションでは床をどれだけ上げられるかが分かれ道になります。ここは必ず現地を見てもらってください。
【段階3】設(しつら)えまで — 床の間、水屋(みずや=茶碗を洗い、道具を用意する流し)、にじり口、露地(ろじ=庭の通路)。ここまで来ると本格的な茶室の姿になります。なお、にじり口は草庵茶室の象徴ではありますが必須ではありません。広間の茶室では、立ったまま入る貴人口(きにんぐち)を設けるのが普通です。
頼む先も段階で変わります。炉を切るだけなら畳店や地元の工務店でも扱えることがありますが、床の間や水屋、材料の選定まで含めて相談するなら、数寄屋(すきや)を手がけている会社のほうが話が早く進みます。
大切なのは、相談する前に「どの段階まで行きたいか」を自分で決めておくことです。段階1のつもりの人に段階3の見積もりが出てくると、話が噛み合わないまま終わってしまいます。逆に段階がはっきりしていれば、会社側もすぐに現実的な提案を返せます。
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